杜(MORI)のティールーム

杜の都、仙台に事務所を構える杜協同法律事務所のスタッフたちが綴るリレーエッセイ

春の雪

 雪が降ると時折、あの日の光景を思い出します。3月だというのにとても寒い日で、あの大きな揺れのあとは吹雪になりました。電気が消えて冷えた部屋で、電池式のラジオから、市内の海岸で信じられない数の遺体が打ち上がっているとの一報を耳にして、初めて事態の大きさを知りました。頭が追いつかず不安で、ただ外を眺めていました。いつも明るい町並みがだんだん真っ暗になって、雪と渋滞する車のランプだけがキラキラ光って見えました。
 東日本大震災から5年の節目ということで、テレビ等でもずいぶん多くの特集がありました。5度目の春を迎えても、悲しみが埋まることはありません。今年もまだ雪の降る寒い日が続いていますが、あれからずいぶんと成長した子供たちの姿や、前に前に向かおうとする人々の姿は芽吹きの春のように力強く、励まされました。
(事務局 K.M)