杜(MORI)のティールーム

杜の都、仙台に事務所を構える杜協同法律事務所のスタッフたちが綴るリレーエッセイ

震災

スイッチを押せば電気がつき、蛇口をひねると水が出る、当たり前に思っていたことがそうならない数日がありました。

そうなると、いままで当然のようにしていたことが、出来なかったり、したくなくなったりしました。

小さな事ですが化粧もその一つです。

水が出ないときは顔を洗う水にも窮していましたし、外で会う人たちもみんな化粧っ気がなくて、化粧することなんて考えなかったのですが、水道が復旧しても、化粧をすることが何となくためらわれました。

まだ水の出ない多く地域があるのに、化粧を落とすのに水を使いたくないな。第一こんな非常時に化粧なんてしてていのか、と。

でも化粧は他の人を不快にさせないためにするものものだという女性誌の一文を思い出したりして、やっぱり出来る環境ならしておこうかと思ったり。

私が経験した震災なんて、被災ともよべないくらいのほんの僅かな不便だけでしたが、あの日を境に多くのものが変わって見えたり、当たり前にしていたことがそうでなかったことに気づいたりしました。

今、青葉通には青々とケヤキの葉が繁り、晴天の日は暑いくらいです。

あの震災の日は時折吹雪く凍りつくような寒さだったのに、この2ヶ月余りで、季節はずいぶん移り変わったのだなと感じます。

毎朝、出勤前に化粧をします。その度に化粧をするのをためらったことを思い返します。

震災後に感じた多くのことを、この先もずっと忘れたくないないなと思います。

(事務局 y)