杜(MORI)のティールーム

杜の都、仙台に事務所を構える杜協同法律事務所のスタッフたちが綴るリレーエッセイ

巫女のバイト (y)

 学生のとき、アルバイトでホテルの神前結婚式の巫女をしていたことがあります。下宿の後輩から突然頼まれたのが最初で、リハーサルもなしで手の震えをこらえながら三三九度の御神酒をそそいだりしました。人間、土壇場に強いものです。その後もホテルからお呼びがかかる度にすました顔で巫女になりすましていました。
 大学4年になって就職活動をしていた私は、ある会社の個人面接で、バイトの事ばかり詳しく聞きたがる妙な面接官に会いました。巫女のことも話すと、「やっぱり!あなた見たよ!」私が巫女をした式に参列された方でした。面接は抱負・信念など一切質問されることなく、巫女のバイトの話だけして終了し、その面接は通過させてもらえました。ありがたいことです。
 式の最中、巫女は神前の横に控えています。花嫁さんほか、参列者の方がよく見えます。式はその時々で全く雰囲気が違います。淡々としていたり、涙涙であったり、みんな緊張しすぎていて、こっちがドキドキしたり・・・。でも式を終えた後はいつもじんわりとした幸福感にみたされて、結婚式っていいものだなあと思いました。私はたいてい貰い泣きしてました。変な巫女だったかもしれません。
 一生に一度のお祝いの席に参加できる巫女のバイトは、とても幸せなものであったと思います。