杜(MORI)のティールーム

杜の都、仙台に事務所を構える杜協同法律事務所のスタッフたちが綴るリレーエッセイ

弥生の空に

 2012年3月10日、夜の泉ヶ岳から空へ向けて花火が上がった。昨年の震災からずっと被災地支援を続けてきたボランティア団体「スコップ団」が打ち上げた、震災犠牲者への鎮魂の花火だ。

 「二万人の方が亡くなった震災が一件起きたのではない。一件の悲しい出来事が、二万件も起きたのだ」(スコップ団団長ブログより)

 だから犠牲者とほぼ同数の二万発。費用は全て寄付金やスコップ団グッズの売上金で賄われたという。

 みぞれが降るあいにくの天気だったが、それでも空の上の人たちに見てもらえればいい、という団長の意思を受けて打ち上げは決行された。花火に込められた地上の皆からの「こっちは元気だぞ-!」というメッセージは、きっと空まで届いたことだろう。

 残念ながら彼らの活動に参加する機会は得られなかったが、熱い気持ちで地道な活動を続けて来たスコップ団、そして復旧復興に力を尽くして下さった多くの方々にも心からお礼を言いたい。

 あれから1年。でも、まだ1年。

 悲しい記憶に接するたび、失われた命、失われた時間に安らかなれと願わずにいられない。

(事務局 陽だまりねこ)