杜(MORI)のティールーム

杜の都、仙台に事務所を構える杜協同法律事務所のスタッフたちが綴るリレーエッセイ

雨の花 (陽だまりねこ)

 仙台も梅雨の季節になりました。
 梅雨の間は曇天やじめじめした湿気につい気が滅入りがちですが、一方で楽しみにしているのは、この時期に庭を飾る紫陽花です。
 紫陽花は昔から母の好きな花の一つで、父の転勤に伴って引越をしたどの家でも必ず庭に植えていました。薄暗い空の下、水滴をまとってしっとりと咲く“雨の花”は、憂鬱な季節に彩りを添える我が家の風物詩になっています。
 紫陽花の花(萼がく)の色は紫・青・白・桃色ととても多彩ですが、この色が土壌に含まれる養分によって変わるという説はよく知られていますね。説の真偽は別として、前年は桃色の花をつけていた株が翌年には白い花を咲かせていると、まるで魔法でも見せられているようです。この性質のためか、紫陽花には“移り気”という花言葉があり、正岡子規も「紫陽花や きのふの誠けふの嘘」なんて詠んでいますが、いくつもの色が楽しめると思えばお得な気もします。
 今年の我が家の紫陽花は、小振りながら花の形ができたところ。今の庭の主役は花盛りを迎えている紅白の薔薇です。
 梅雨入りした途端、雨天が少なくなった気がする仙台郊外ですが、色づいた紫陽花が薔薇から主役を引き継ぎ、雨の庭にあざやかな花を添えるのももう間もなくかなと思います。